滝ノ上温泉の発見年代は不明であるが、天和3年(1683)に葛根田川上流の北白沢入口で赤土の採掘願いが出されていること、また『金堀』と呼ばれる金山の開発された跡があること、などから天和の頃には一部の人に知られていたと思われる。しかしながら、険峻な奥地の谷間にあるため利用価値もなく、捨ておかれていたのではなかったか。

 滝ノ上温泉は、近年誰言うとなく「たきのかみ」温泉と呼んでいるが、本来は「たきのうえ」と呼んできたものである。温泉地域の各所や川床には百余に及ぶ湧き口があり、湧出量も多く、流れる川を湯の川に変え、滝ノ上温泉下流の絶壁から滝となって落下する景観は実に見事である。この滝は「鳥越の滝」(古くは「鳥声の滝」と書かれてる)と呼ばれ、この滝の上に在ることから滝ノ上温泉と呼ばれた。

 これより上流白沢にかけて山中温泉が多く、山の形、湯の湧きは『剣の如く、塩の如く、湯の如く種々ありて、田名部ウソリ山(下北半島恐山)の如し』といわれ、その様子が絵図に伝えられている。


昭和54年発行の雫石町史『藩政下の雫石』より引用
一部読み易いように加筆改編

滝観荘(りゅうかんそう)と滝峡荘(りゅうきょうそう)は姉妹館です

 滝ノ上温泉の泉質は、ナトリウム塩化物温泉(低張性アルカリ性温泉)です。無色透明で、わずかに温泉臭があります。高温の源泉を水を混ぜずに浴槽まで引いていますが、温泉を引く過程である程度は冷やされるというものの、かなり熱いので入浴する際は、お好みに応じて水も併せてかけ流していただきます。

滝観荘(りゅうかんそう)
入浴しながら蒸気の溢れる様子を眺められるのも湯処ならでは
滝峡荘(りゅうきょうそう)

料金

日帰り温泉利用料金 700円